梅の実学園・なんでもマニュアル図鑑

生活に関するマナーや自己啓発、雑学を集めた教養ページです。

子どもの人権(その2)

前回は子どもの定義についてお送りしましたが、今回は「子どもと親」についてお送りします。

第5条 (親の指導の尊重)

締約国は、親、または適当な場合には、地方的慣習で定められている拡大家族もしくは共同体の構成員、法定保護者もしくは子どもに法的な責任を負う他の者が、この条約において認められる権利を子どもが行使するにあたって、子どもの能力の発達と一致する方法で適当な指示および指導を行う責任、権利および義務を尊重する。

この条約では子どもの人権に関する項目が書かれていますが、しかし、子どもの人権を語るうえで外すことができないのが、「親」です。親は実の親だけでなく、法定保護者といって、祖父母、叔父・叔母、養父・養母、成人のきょうだいも含まれます。親がいなくても、児童養護施設の職員もある意味親代わりといえます。

この条では子どもといっしょに暮らす親の指導の権利と義務が書かれています。子どもの成長には親が欠かせない存在です。子どもの権利に大人は不要、じゃまだと思いがちですが、親はそうはいきません。特に小さい子どもの場合は自己主張が難しいので、親のアシストがなければなりません。ただし、親が一方的に押し付けたり、暴力を振るってはいけません。

 

第9条 (親からの分離禁止と分離のための手続)

1.締約国は、子どもが親の意思に反して親から分離されないことを確保する。ただし、権限ある機関が司法審査に服することを条件として、適用可能な法律および手続に従い、このような分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。当該決定は、親によって子どもが虐待もしくは放任される場合、または親が別 れて生活し、子どもの居所が決定されなければならない場合などに特別に必要となる。

2.1に基づくいかなる手続においても、すべての利害関係者は、当該手続に参加し、かつ自己の見解を周知させる機会が与えられる。

3.締約国は、親の一方または双方から分離されている子どもが、子どもの最善の利益に反しないかぎり、定期的に親双方との個人的関係および直接の接触を保つ権利を尊重する。

4.このような分離が、親の一方もしくは双方または子どもの抑留、拘禁、流刑、追放または死亡(国家による拘束中に何らかの理由から生じた死亡も含む)など締約国によってとられた行為から生じる場合には、締約国は、申請に基づいて、親、子ども、または適当な場合には家族の他の構成員に対して、家族の不在者の所在に関する不可欠な情報を提供する。ただし、情報の提供が子どもの福祉を害する場合は、この限りではない。締約国は、さらに、当該申請の提出自体が関係者にいかなる不利な結果 ももたらさないことを確保する。

親の離婚などで子どもが両方またはいずれかの親と別れることを防止するのを意味しています。

日本のみならず、世界で離婚する親が増えています。子どもは親のいずれかと暮らさなければなりません。親権は親の意見と法廷で決定します。子どもの希望で親を選択することはできません。(ただし、高校生などある程度の意見表明ができる子どもの場合はこの限りではない)

また、虐待を受けた子どもに対しては、親と引き離し、施設や里親を確保しなければなりません。

3、4は親と分離された子どもはいつでも親に会いに行けるようにしなければなりません。

 

第10条 (家族再会のための出入国)

1.家族再会を目的とする子どもまたは親の出入国の申請は、第9条1に基づく締約国の義務に従い、締約国によって積極的、人道的および迅速な方法で取り扱われる。締約国は、さらに、当該申請の提出が申請者および家族の構成員にいかなる不利な結果 ももたらさないことを確保する。

2.異なる国々に居住する親をもつ子どもは、例外的な状況を除き、定期的に親双方との個人的関係および直接の接触を保つ権利を有する。締約国は、この目的のため、第9条1に基づく締約国の義務に従い、子どもおよび親が自国を含むいずれの国からも離れ、自国へ戻る権利を尊重する。いずれの国からも離れる権利は、法律で定める制限であって、国の安全、公の秩序、公衆の健康もしくは道徳、または他の者の権利および自由の保護のために必要とされ、かつこの条約において認められる他の権利と抵触しない制限のみに服する。

この条では家族再会のための外国の出入国について書かれています。各国はこの再会を保証するための必要最低限のことをしなければなりません。特に難民や戦争などで別れてしまった親子に対しては再会を保障しなければなりません。

 

第18条 (親の第一次的養育責任と国の援助)

1.締約国は、親双方が子どもの養育および発達に対する共通 の責任を有するという原則の承認を確保するために最善の努力を払う。親または場合によって法定保護者は、子どもの養育および発達に対する第一次的責任を有する。子どもの最善の利益が、親または法定保護者の基本的関心となる。

2.この条約に掲げる権利の保障および促進のために、締約国は、親および法定保護者が子どもの養育責任を果 たすにあたって適当な援助を与え、かつ、子どものケアのための機関、施設およびサービスの発展を確保する。

3.締約国は、働く親をもつ子どもが、受ける資格のある保育サービスおよび保育施設から利益を得る権利を有することを確保するためにあらゆる適当な措置をとる。

ここでは親の養育責任と国の援助について書かれています。子どもの教育や福祉、生活などに関する親の責任を有することと、国がそれを援助しなければなりません。

3は働く親を持つ子どもに対して、保育園(所)、託児所などの保育サービスを受けられるよう、国は保証をしなければなりません。日本の場合は認可保育園に入れる子どもが満杯で、子どもを預けて働くことが非常に困難になっています。無認可保育園だと、認可保育園以上のサービスを受けられるのが魅力ですが、施設の規模や整備の問題や衛生面の問題などが多く、無認可施設を敬遠する親が多いです。日本は認可保育園の増設や保育士などの人材の確保などを急がなければなりません。

 

第19条 (親による虐待・放任・搾取からの保護)

1.締約国は、(両)親、法定保護者または子どもの養育をする他の者による子どもの養育中に、あらゆる形態の身体的または精神的な暴力、侵害または虐待、放任または怠慢な取扱い、性的虐待を含む不当な取扱いまたは搾取から子どもを保護するためにあらゆる適当な立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとる。

2.当該保護措置は、適当な場合には、子どもおよび子どもを養育する者に必要な援助を与える社会計画の確立、およびその他の形態の予防のための効果 的な手続、ならびに上記の子どもの不当な取扱いについての実例の認定、報告、照会、調査、処理および追跡調査のため、および適当な場合には、司法的関与のための効果 的な手続を含む。

この条では子どもを虐待から守るため、親を分離したり、子どもを施設等に保護することを国は保障しなければなりません。

日本をはじめ、世界では親が子どもを虐待する家庭が増えています。肉体的暴力や言葉の暴力、性的虐待など、やり方は陰湿です。ひどい場合は死に至るケースが多いです。親自身が虐待を受けた体験を持つ人が多く、親のケアも急務です。

虐待を受けた子どもは、その後の人生がめちゃくちゃになり、犯罪や自殺などの不幸につながります。虐待は犯罪です。親は虐待をやめるべきであり、もし虐待を続けるなら、親をやめるべきです!!

 

第20条 (家庭環境を奪われた子どもの保護)

1.一時的にもしくは恒常的に家庭環境を奪われた子ども、または、子どもの最善の利益に従えばその環境にとどまることが容認されえない子どもは、国によって与えられる特別 な保護および援助を受ける資格を有する。

2.締約国は、国内法に従い、このような子どものための代替的養護を確保する。

3.当該養護には、とりわけ、里親託置、イスラム法のカファラ、養子縁組、または必要な場合には子どもの養護に適した施設での措置を含むことができる。解決策を検討するときには、子どもの養育に継続性が望まれることについて、ならびに子どもの民族的、宗教的、文化的および言語的背景について正当な考慮を払う。

虐待などで家庭環境を奪われた子どもに対し、国は施設や里親、養子などで住む場所・生活をする権利を確保、援助をしなければなりません。

 

第21条 (養子縁組)

養子縁組の制度を承認および(または)許容している締約国は、子どもの最善の利益が最高の考慮事項であることを確保し、次のことをする。

a. 子どもの養子縁組が権限ある機関によってのみ認可されることを確保すること。当該機関は、適用可能な法律および手続に従い、関連がありかつ信頼できるあらゆる情報に基づき、親、親族および法定保護者とかかわる子どもの地位 に鑑みて養子縁組が許容されることを決定する。必要があれば、当該養子縁組の関係者が、必要とされるカウンセリングに基づき、養子縁組に対して情報を得た上での同意を与えることを確保すること。

b. 国際養子縁組は、子どもが里親家族もしくは養親家族に託置されることができない場合、または子どもがいかなる適切な方法によってもその出身国において養護されることができない場合には、子どもの養護の代替的手段とみなすことができることを認めること。

c. 国際養子縁組された子どもが、国内養子縁組に関して存在しているのと同等の保障および基準を享受することを確保すること。

d. 国際養子縁組において、当該託置が関与する者の金銭上の不当な利得とならないことを確保するためにあらゆる適当な措置をとること。

e. 適当な場合には、二国間または多数国間の取決めまたは協定を締結することによってこの条の目的を促進し、かつ、この枠組の中で、子どもの他国への当該託置が権限ある機関または組織によって実行されることを確保するよう努力すること。

この条では他人の大人が、親のいない子どもを養子にする養子縁組(ようしえんぐみ)について書かれています。

海外では子どもを養子にする家庭が多いですが、日本では非常に少ないです。理由は核家族化や昔の家族制度の固渋が根強く、プライバシーの厳格化などで子どもを養子にすることはほとんどありません。

大人の場合は、結婚で新郎が新婦側の養子になることはありますが、これは跡取りが不足するためにやむを得ずにむこ養子になる措置で、虐待などで子どもを養子にするとなると、子どもの家庭環境を把握しなければならないし、子どもの意思も考慮しなければなりません。里親も同じで、なかなか子どもの養子や里親になる人が現れません。

海外のように、日本も気軽に養子や里親ができるような法律を作らなければなりません。

 

次回は「子どもの健康と命」についてお送りします。

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*参考リンク*

子どもの権利条約ネットワーク:http://www.ncrc.jp/

日本ユニセフ協会子どもの権利条約):http://www.unicef.or.jp/crc/

 

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