前回は厳しい環境の下で生活をしている子どもの保護と人権についてお送りしました。
今回は本題となる、「子どもの社会参加」についてお送りしたいと思います。
第12条 (意見表明権)
1.締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。
2.この目的のため、子どもは、とくに、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通 じて聴聞される機会を与えられる。
子どもの権利を語るうえで、最も欠かすことができないのが「社会参加」です。意見表明権はその代表的なものと言えるでしょう。
意見表明権ができる年齢の子どもはおおむね10歳以上が目安です。海外の多くが10歳前後の子どもの意見表明が認められています。
日本では法的でもふだんでも意見表明が認められているのは16歳前後。それ以下の子どもの意見表明は認められていません。
「子どもは無能」「意見をいう子どもはわがまま」と決めつける大人たちがあまりにも多いこと。親でも同じです。
日本政府は「子どもの権利条約」を批准する上で、「教育目標を達成するため、子どもの権利を制約することができる」とブレーキをかけてます。教育目標とは、おそらく義務教育目標のことでしょう。教育目標を達成するためには子どもの意見表明を制約しようとしているのです。
法的なものとしては、遺言、臓器移植の意思表示カードなどは15歳以上、結婚の権利は男子は18歳以上ですが、女子は16歳以上となっています。他にもいろいろな意見表明が制限されています。
10歳以上になってくると、個人差はありますが、大人と対等に意見を言うことができます。日本はそんな社会にしなければなりません。そうでなければ、国の未来は崩壊するでしょう。
第13条 (表現・情報の自由)
1.子どもは表現の自由への権利を有する。この権利は、国境にかかわりなく、口頭、手書きもしくは印刷、芸術の形態または子どもが選択する他のあらゆる方法により、あらゆる種類の情報および考えを求め、受け、かつ伝える自由を含む。
2.この権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ次の目的のために必要とされるものに限る。
a. 他の者の権利または信用の尊重
b. 国の安全、公の秩序または公衆の健康もしくは道徳の保護
音楽や絵、文章など、表現できる自由は子どもにもあります。この条ではこれらの表現ができる権利を認めています。ただし、ポルノ系や暴力的な表現は当然ながら認められません。
第14条 (思想・良心・宗教の自由)
1.締約国は、子どもの思想、良心および宗教の自由への権利を尊重する。
2.締約国は、親および適当な場合には法定保護者が、子どもが自己の権利を行使するにあたって、子どもの能力の発達と一致する方法で子どもに指示を与える権利および義務を尊重する。
3.宗教または信念を表明する自由については、法律で定める制限であって、公共の安全、公の秩序、公衆の健康もしくは道徳、または他の者の基本的な権利および自由を保護するために必要な制限のみを課することができる。
親や自分が持っている思想や宗教を信仰する権利があります。宗教は海外ではキリスト教やイスラム教、日本では仏教、神道があります。
宗教はその家庭や国が持つもので、他人が干渉したり、辞めさせる権利はありません。
ただし、その宗教や思想が国の安全を脅かしたり、危険を脅かす者の場合はこの限りではありません。
日本では仏教系やキリスト教系、神道系の「新興宗教」が多く存在します。すべてが悪いとは言えませんが、多くの新興宗教は人の生活や人格を脅かす「カルト宗教」です。そんなものは子どもであっても大人であっても信仰するべきではないです。かつて「オウム真理教」の信者による事件が相次いで起こったのは記憶にも新しいです。
宗教を信仰するのはカルト宗教ではない、昔からあるメジャーな宗教が望ましいです。また、自民党議員らが参拝する「靖国神社」はA級戦犯が葬られている神社なので、国の未来のためにも参拝しないほうが望ましいです。
第15条 (結社・集会の自由)
1.締約国は、子どもの結社の自由および平和的な集会の自由への権利を認める。
2.これらの権利の行使については、法律に従って課される制限であって、国の安全もしくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康もしくは道徳の保護、または他の者の権利および自由の保護のために民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
大人たちが参加しているデモや集まりは、子どもでも参加はできますし、子ども同志でも集まって参加することができます。
いずれもそれぞれの国の平和や生活を守るためだけにやることなので、国や大人たちは止める権利はありません。
第16条 (プライバシィ・通信・名誉の保護)
1.いかなる子どもも、プライバシィ、家族、住居または通信を恣意的にまたは不法に干渉されず、かつ、名誉および信用を不法に攻撃されない。
2.子どもは、このような干渉または攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
子どもにもプライバシーがあります。大人、特に親は子どものプライバシーに介入しようと、無断で部屋に入って調べようとしています。
大人、親は子どものプライバシーは立ち入るべきではありません。
ただし、子どもがいじめられたなど、つらさ、苦しみのサインがある場合はこの限りではありません。
第17条 (適切な情報へのアクセス)
締約国は、マスメディアの果たす重要な機能を認め、かつ、子どもが多様な国内的および国際的な情報源からの情報および資料、とくに自己の社会的、精神的および道徳的福祉ならびに心身の健康の促進を目的とした情報および資料へアクセスすることを確保する。 この目的のため、締約国は、次のことをする。
a. マスメディアが、子どもにとって社会的および文化的利益があり、かつ第29条の精神と合致する情報および資料を普及する事を奨励すること。
b. 多様な文化的、国内的および国際的な情報源からの当該情報および資料の作成、交換および普及について国際協力を奨励すること。
c. 子ども用図書の製作および普及を奨励すること。
d. マスメディアが、少数者集団に属する子どもまたは先住民である子どもの言語上のニーズをとくに配慮することを奨励すること。
e. 第13条および第18条の諸条項に留意し、子どもの福祉に有害な情報および資料から子どもを保護するための適当な指針の発展を奨励すること。
この条では子どもの心身の健康を守るため、有害な情報のアクセスから守らなければなりません。
情報は書籍、CD、DVD(ブルーレイ)、テレビ、ラジオ、映画、ゲーム、インターネット…と、さまざまです。これらの情報の中にはポルノや暴力などの有害なものが多く存在します。
国はこれらの有害な情報から子どもを守らなければなりません。
aは第29条の精神についてですが、次回の教育にて紹介する予定です。
cは子ども用図書を作ることですが、日本ではすでに作られています。
dは特に(その4)で紹介した国や民族の子どもの言語上のニーズに配慮することが書かれています。
第31条 (休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加)
1.締約国は、子どもが、休息しかつ余暇をもつ権利、その年齢にふさわしい遊びおよびレクリエーション的活動を行う権利、ならびに文化的生活および芸術に自由に参加する権利を認める。
2.締約国は、子どもが文化的および芸術的生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進し、ならびに、文化的、芸術的、レクリエーション的および余暇的活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。
子どもは勉強するだけのものではありません。遊ぶこと、休むことも重要な権利です。
次回は、子どもの一日の生活には欠かせない教育についてお送りします。
*参考リンク*
子どもの権利条約ネットワーク:http://www.ncrc.jp/
日本ユニセフ協会(子どもの権利条約):http://www.unicef.or.jp/crc/
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